シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
布…。
俺が守ってきた布…。
きっと、俺の女装のインパクトが大きすぎて、布に対する記憶の蘇生が出来ていないんだろう。
そうとしか思えなかった。
それ以外に、どんな理由があるというんだ?
――芹霞ちゃあああん!!!
俺達の間には、12年の重みがある。
芹霞、いい加減気付けよ。
どんな俺でも俺であるのなら。
いつもお前は、探し出してくれていただろう?
判るだろう、どんな格好してても俺だって。
きらきら、きらきら。
駄目だ…。
心が挫けそうだ。
このきらきらは厄介なんだ。
そう言えば…
――紫茉ちゃん、紫茉ちゃん。
七瀬にもこんな目をしていたような…。
――芹霞って、百合か?
真顔の煌がそんなことをぶつぶつ呟いていたことを思い出す。
百合…には行かせない。
俺に戻してみせる。
必死に…発声しようとしてみた。
"俺は櫂だ"
「……は……い…」
しかし声がスカスカとしか出てこなくて。
「"はい"…って言った。はいって言った!!!はいって言ったよね、久遠!!!」
芹霞が後方の久遠に振り返りそう言えば、
「あはははははは!!!」
久遠の笑い声が大きくなった。
"違う、俺は男だ。友達は嫌だ"
「………、……と……。…も……・・」
畜生、何で思ったように声が出ないんだよ。
「"とも"…って言った。ともって言った!!!友って言ったよね、久遠!!!」
「あはははははは!!!」
またもや久遠の笑い声。
煩い、黙れ!!!