シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
久遠が見ていようが、そんなの構わない。
故意的なのかどうかは判らないけれど。
いつでも芹霞の中で1番を保持続けてきた俺の名が、その口から漏れてこないことに…恐ろしい不安と恐怖を感じた。
俺を見て、俺だと認識出来ないのは…俺の格好故ではなく、芹霞の記憶の中が問題なのではないかと。
芹霞の中で、俺は既に終わった…過去の男になっているのではないかと。
過去ならまだいい。
抹消されているのではないか。
――紫堂櫂を愛してる!!!
布を忘れているのは…
そのせいかも知れないと。
俺は――
あの時の芹霞の言葉に、
囚われすぎていたのではないか。
安穏とし過ぎていたのではないか。
会えればあの時間は戻ると…
簡単に考えすぎていたのではないか。
現実は違う。
止まっていたと思っていた時間は、既に動いていて――
巡った邂逅の先には…
何が待ち受けてた?
忘れたなんて許さない。
俺との歴史をなかったことにはさせない。
思い出させてやる。
忘れたなら、俺という熱さを。
俺は…
――紫堂櫂を愛してる!!!
俺はただ…
芹霞に闇雲に口付けた。
俺は此処だ!!!
此処に居る!!!