シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
だけど…芹霞とのデート。
恥はかきたくなくて。
僕だって男だし。
仕方がない。
紫堂の…電気の力が使えるようなら、どうにか裏から操作して…。
駄目なら仕方がない、紫堂財閥の名でツケにして貰うしか…。
色々と思い悩んでいたら。
「ふふふ、代金はご心配なく。ちゃんと先に御代は頂いてますから、紫堂玲様」
そう言われて。
「え!!?」
代金が支払済みだった為か、僕の名前を呼ばれた為か。
僕の声はひっくり返った。
店長は、棚からがさがさと…袋を出してきた。
「これは…紫堂様にと」
青い…手提げ袋。
自己主張強いその鮮やかな青色に――
凄く…嫌な予感がして。
「あの…いりません」
僕は顔を引き攣らせながら、きっぱりと拒めば、
「そう言われたら、"代金は直ちに本人から、現金で支払ってもらうように"とお伝えするよういわれております」
にこにこにこ。
「"現金"でと」
その時、試着室から憔悴した芹霞と、喜々たる顔つきで切った値札を手にした店員が出てきて。
芹霞が僕の元に歩いてきて。
値札がレジの前に並べられていき――
概算した僕は…項垂れた。
「すみませんが――
その青い袋、下さい…」
借りを作るのは嫌だけれど、恥をかくのはもっと嫌だ。