シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「蛆と蚕とスクリーンの姿がないのは、浄化の布陣のせいだと考えれば…それが効果ある最中、何で"こいつら"が新たに現われた?」
久遠は、面倒臭そうに呟いた。
「まるで俺の布陣が無効化されたような…」
そこで言葉を切った久遠は、目を細めた。
「無効化…久涅か? あいつがほっつき歩いているのは、此の地に仕掛けていた防御の陣を悉(ことごと)く無効化しているというのか? オレ達を…"約束の地(カナン)"を危機に陥れている…そういうわけか」
「違うよ!!」
芹霞が反論した。
「久涅は、そんな非道なことしない!!!」
どうして――
「人を追い詰めたりしないよ!!!」
どうして、そんなことを言う?
「そりゃああんな顔で、あんな格好で、口も悪いし誤解を生むかもしれないけれど、久涅の根はいい奴だよ!! 駄目だよ、疑っちゃ!!!」
俺を追い詰めたのは、奴なのに。
どうして…?
なあ、どうして?
「久涅が何考えて此処に来たのか判らないけれど、今起きていることと久涅の行動は違う、絶対違う!!!」
芹霞の瞳には…
久涅に対する嫌悪感はなく。
寧ろ親近感に溢れていて。
親近感…だけか?
どくん。
――あたしは、神崎芹霞は!!!
俺の居ない間、お前に何が起きた?
お前は今――
誰を想ってる?
何で――
俺を見ない?
お前にとって一番は――
オレジャナイ?
そんなのは嫌だッッッ!!!