シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・焦慮

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目の前に…赤い炎が広がる。


誰かが…火達磨になっている。


絶叫のような声が聞こえる。


あれは――


――むふふふふ。


由香…ちゃんだというの?



何で玲くんが由香ちゃんを…?


「玲くん!!!?」


玲くんは…こちらの声に気づいていないみたいで。

茫然自失状態で、炎を見詰めている。


ふらふらとしているその姿は…

めらめらと燃える…炎の揺らぎのよう。


何かの間違いだと思って、あたしは鏡を覗き込んだ。

だけど…炎が大きくなる状況だけが映り、その中に何がいるのは判らない。


それでも確実に燃えてはいるんだ。

人型の…"何か"は。


「紫堂玲!!! 正気か!!!?」


久遠の声も届かない。

まるで玲くんに届かない。

聞こえていないの?


こんなに屍が溢れる異常事態。

更には見知ったあたし達がいるというのに。


それすら見えてもないようで。

意識すらしていないようで。


声が届かない。


虚ろな端麗な顔。


まるで魂が抜けたようなその顔に、

あたしは底知れぬ不安を感じて。


「どうしたの、玲くん!!!」


由香ちゃんを殺したなんて、頭がついていかない。


何かの間違いだ。

ありえないよ!!!
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