シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
よし。
今度は、破棄しちゃ駄目だとは書いていない。
「これ、ゴミ箱に捨て「"現金"だそうです」
にこにこ。
あの青い男は…僕より一枚も二枚も上手で。
僕の行動を読みきっている。
ああ――
何で金に泣く羽目になるんだよ、僕。
成り上がりのシンデレラは、落ちぶれのシンデレラでもあるらしい。
惨めこの上ないけれど、僕は愛しい女性とのデートを成功させる為に…矜持を優先させるしかない。
それすら、見越されているのだろう。
腹立たしくて仕方がないけれど。
僕は…忌々しい直筆の手紙を持ち歩かねばならなくなった。
だけど…
どうして、僕の"お出かけ"が筒抜けなんだよ。
腹立たしさに輪がかかる。
僕の決死の覚悟さえも…あの胡散臭い男の手のひらなのか。
もしかすると…結婚話が持ち上がったことも、知っているのかもしれない。
だとすれば、僕がどう動くのか――
僕の募る恋心も、あの男には透けて見えていたのかよ。
芹霞には、届いていないって言うのに。
"あはははははは~"
くそっ!!!
僕は試着室に入り、渡された服を手に取ると…益々深い溜息をついた。
「どうして青いのに…
センスがいいんだよ、あの男!!!」
僕は、着ていた背広を床に投げ捨てた。