シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
玲くんは顔を上げて、こちらを見る。
驚愕に開かれる鳶色の瞳。
あたし達に気づいたのか、
黄色い外套男に気づいたのか。
そのどちらもか。
だけど一瞬…
玲くんの動きが遅かった。
黄色い外套男の手刀が、
「玲くん、逃げて!!!」
玲くんの目を――。
「玲くーーんッッッ!!!!
いやあああああ!!!」
あたしの横から――
風が走った気がした。
漆黒色。
まるで外套のように長いスカートを翻し、
夜空に身を漂わせて…舞うような姿はしなやかで艶やかで。
まるで玲くんの戦う姿にも似ている――
凛ちゃん…だった。
外套男の手が玲くんの目に届くその寸前、
間に滑り込んだ彼女は、
己の腕を立ててそれを弾いた。
裂かれる長袖。
斜めに走る真紅色。
外套男を見据えるように、
凜ちゃんの切れ長の目が細められた。