シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
――ねえ師匠…。
彼女は玄米茶を入れ続けながら言った。
――報われない恋はやめたら?
どくん。
直球(ストレート)的な物言いが、僕の心を突き刺す。
――師匠に勝ち目無いよ。
――所詮、真実の愛には敵わないって。
どくん。
――師匠…結婚した方がいいよ。最初は抵抗あっても、子は鎹(かすがい)って言うじゃないか。師匠はきっと何だかんだ言っても、子供を溺愛…。
「お前は誰だ」
僕から低い声が出た。
――し、師匠?
「何処から僕の結婚話を聞いた?」
――や、やだな、師匠が…。
「その話は、煌と桜しか言っていない。
何処で知り得た?」
――そ、それは…実は如月の携帯から連絡があって…。
「煌は携帯はもっていない」
彼女は1歩退く。
――は、葉山の携帯から…。
「桜の電話は繋がらない。
しかも、煌は携帯をかけない」
僕は剣を拾って、彼女の首元に突きつける。
「お前は誰だ?
オッドアイ…」
剣に映ったのは、透き通るような青い瞳。
これは由香ちゃんの持つものではない。
そして一閃。
「本物と蓮を縛り上げて、どうする気だった?」
刃に映っていたのは、縄で縛られた2人の姿。
それを今、僕が斬り解いた。