シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

耳に響く絶叫。


それは人のものとは思えなかった。

不可解なる擬音語。


その悍(おぞま)しさが、僕の中の暗澹たる感情を共鳴させる。

震えさせる。


呼び覚まされるのは、僕の中の狂いの血。

不安定でさざめく…澱んだ僕の血。


ざわざわざわ。


僕の中の狂気が、炎と同期したように揺らめいていく。



――報われない恋はやめたら?


ざわざわざわ…。


――所詮、真実の愛には敵わないって。



ああ!!!



芹霞、今何処に居る?


ねえ…もう櫂と会ったの?

会って…記憶が戻ってしまったの?


切なさとやりきれなさに、泣きたくなってくる。


会いたい。

抱きしめたい。

安心したい。


変わらぬものが僕にはあると。


不安なんだ。

不安で仕方が無いんだ。



君が…離れていきそうで。



そんな時だったんだ。


突然、視界に――


黄色い外套男と…

芹霞の姿を見たのは。


それだけではない。


久遠とクラウン王子、

そして…滅んだはずの大量の屍の姿。


今まで何も無かった闇の場所に、

突如現われたものは――


僕の不安が見せた夢なのか

厳しい現実なのか。


惑う僕の動きが遅くなり、

気づけば僕には手刀が向けられていて。


その早さと正確さ。


目をやられる!!!



しかし――


突如走った漆黒の風。



僕は助けられたんだ。



女装姿の櫂に。


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