シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
僕が見間違えるはずがない。
どんな格好をしていようと、
僕の大切な従弟を間違えない。
また…助けてくれたんだ。
また、駆け付けてくれたんだ。
――玲。俺を信じろ。
生きていた。
ちゃんと生きていた。
ようやく、僕は逢えた!!
色々な思いが頭に巡る。
櫂の最期。
次期当主になって堪え忍んできたこと。
結婚話。
今までの全ての苦痛が込み上げてきて。
そして――
僕の罪も全てが込み上げてきて。
それでも櫂が生きて居たというその実感だけで、
その感動だけで。
僕は報われた気持ちになったんだ。
夢物語ではない。
これは現実。
希望的観測ではなく、
これは真実。
櫂はちゃんと生きている。
嬉しくて嬉しくて
涙が止らなかった。
まるで迷子の子供が親と出会えたかのように。
人前でこんなに泣くのが恥ずかしいと思わなかった。
櫂が此処に居る。
それだけで救われた気分になっていたから。
どんな複雑な蟠(わだかま)りも、
喜悦の涙が洗い流してしまう。
ああ、何でこうして早く駆け付けなかったのか。
後悔すら覚えてしまう。
だけど――
僕は怖かった。
芹霞から向けられていた無言の眼差し。
一定の距離を置いて見つめているその眼差しが、僕を詰っているように思えて。
その瞳の奥で、何を考えているのかが判らなくて。
僕は怖かった。
目をそらさないといけなかった。
僕の…罪故に。