シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「ねえ…"約束の地(カナン)"は、何でこの場所に建てられたの?」


不意に芹霞が久遠に聞いた。


「レグはどうしてこの場所を選んだのだろうね?」


「…外界と隔離する為…

以外に何か理由があるのか?」


そして考え込み…


「やはり…レグの日記を精査する必要があるな。

結局は…振り出しに戻る、か」


久遠は面倒臭そうに、前髪を掻き上げ…溜息をついた。


「まあ…紫堂玲が居れば、何かと役立つかもしれない。耐久性があり、小回りが利きそうだ」


僕が、何だって?

すると由香ちゃんと櫂が、心底哀れんだ目を僕に寄越してきた。


何?

レグの日記を探すことで、何でそんな目?

そんなに探し出すのは大変なの?


どんな…探索なんだろう?


「その前に、紫堂玲。Zodiacの曲から、その…虚数だかを作る特定音だけを抜き出した時、その容量はどれくらいになる?」


Zodiac?


何で此処でZodiac?


「ああ、こう言った方がいいか。

その容量は、32MB以上になるか?」


何でそんな具体的?



「多分…ね。少なくとも100倍の…GB(ギガバイト)単位にはなると思うけど?」


「ではウイルスは? 6時45分前後に外部から混入されていたという、その虚数ウイルスプログラム…32MBで蔓延出来るか?」


「規模…にもよるけれど、あれは既存の0と1の構成を変える命令ばかりだから、32MB以下でも十分用は足せると思う」


瑠璃色の瞳が細められた。
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