シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
酷く思い詰めたような…
翳りある端麗な顔には、苛立ちの色が濃く。
色が白く変わる程握りしめられた拳。
鳶色の瞳は、俺を見つめながらも…焦点があってないようにも見えた。
勘違い、しているんだ…玲は。
未だ、状況が圧倒的に有利なのはお前の方。
芹霞は、お前だけを"男"として意識している。
向かい側から見ていたんだ。
身を…引き裂かれそうな想いで。
――紫堂櫂を愛してる!!!
何で…忘れてしまったんだよ、芹霞。
何で…見つけてくれないんだよ、俺を。
12年間の思い出は、そんな簡単に闇に葬れるほど薄いものだったのか?
――櫂がだあい好き!!
お前、俺が好きだと…昔から言ってくれていたじゃないか。
――僕も芹霞ちゃんがだあい好き!!
それすら忘れるなんて…酷すぎる。
――櫂、あたし達は"永遠"だよ?
なあ…。
お前が思い出してくれるのなら。
俺は惰弱な姿に戻ってもいいから。
なあ…。
お前が振り向いてくれないのなら。
俺が今の俺でいる理由はないんだ。
俺だからという、強みがなくなってしまったら。
俺が一番に思われているという自信がなくなってしまったら。
俺はただ――
お前にとっては赤の他人で。
思い出も絆もない、ただの…希薄な"知り合い"で。
そんなのは嫌だ!!!
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ!!!