シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
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ザアアアア。


熱いシャワーを頭から被る。


じんじんとした脈打った痛みが、

腕の傷口から体の隅々まで広がっていく。


痛むのは、傷か…心か。


これは――…

俺の賭けだ。


玲が動くのは、あと4時間弱。


"お試し"は…皆公認の玲だけの特権。


ここまで切実な…切羽詰まった顔で、しかもこんなタイミングでしてくるとは、正直思っていなかった。


甘くみていたのか、俺は。


多分――

玲の身に、何かが起きている。


そうでなければ、あいつはもっと準備を万全にして、何も心配も障害のない環境の中で、悠々と事に臨むはずだ。

そうでなければ、とうに決行していたはずなんだ。


あんな…悲壮感漂う顔をしているのは、募った恋心だけが原因とは言いきれないものがある。


煩悶。

焦慮。

切迫。


嫌な予感がするんだ。

いつものように、黙認できないんだ。


玲の様子が…切実過ぎるから。

必死すぎるから。


俺は…この"お試し"に、

底知れぬ不安を抱えている。


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