シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「…お前では、役不足だ。

逆に私に"あの域"に連れられ、腑抜けて使いモノにならなくなるのがオチ。もっと経験と技を極めてから物を言え」


気丈に返す緋狭姉。


端正な顔は僅かに歪む。



緋狭姉…。


「緋狭姉も"あの域"の「黙れ」


桜に怒られた。



「口だけは威勢がいいが…

己の身体の状況を考えてみろ。


過ぎ行く時間が、惜しいだろう?」


緋狭姉に異変が起きている。

悪態は虚勢だっていうこと、俺にだって判る。



「これしきのことで、参る私だと思うか、周涅」


じゃあ何で立ち上がらねえ?


ありえねえ。


緋狭姉は最強で。

不死身なんだ。


そう思えども…

何か違うんだ。


一笑に付して平然と立ち上がらない。



もしかして刃に――

何か…塗られていたのか?


「聖!!!!!」



俺は――

怒りを爆発させた。


手足はびくとも動かねえ。


だが俺には声がある。


「お前、刃に何を仕込んだ!!!!?」


「ワンワンはん、そんなに怒らんといてや。

――ただの呪詛やさかい」



"ただの"…何だって!!!?

何が"ただの"だって!!!?


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