シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

何かに…思い至ったのだろうか。


そして低い声で言った。


「紫堂櫂、早く動けるようになれ。

不本意ながら…オレの知識をわけてやる。

だから、お前の知識も寄越せ。

喋れないなら、何としてでもお前の意志を伝達する方法を考えろ」



突然…


何だ、このやる気は?




「もしかすると紫堂櫂。


これはお前だけの問題ではないのかも知れない」



俺は目を細めた。



「もしかすると…"約束の地(カナン)"は、


それを構築した白皇自体――

利用されているかもしれない。


――始めから」




その堅い表情は、いつものやる気のない倦怠感に満ちたものではなく。


決意。


"約束の地(カナン)"を統べる各務家当主の持つ、威厳或る顔つきだった。

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