シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「紫堂櫂。食え、食って体力を回復しろ!!!」


突然久遠が、旭の"しちゅ~"の皿を、俺の口に傾けて注ぎ込んだ。

溢れた白い液体が、まだひりひりする口端を滑り落ちてくる。


何が礼儀作法(マナー)だ、この男!!!


「お、おい、久遠!!! 紫堂が死ぬ~」


「死んでもまた生き返らせる。少し前なら、破滅もまた一興だと思っていたが、今はそうと言ってられないんだよ!!! お前が勝手に"遊園地"にしたんだからな、連帯責任だ!!!

さあ、食わないなら、本体の苦い草を囓らせるぞ!!?」


慌てた久遠を見るのは痛快だが…

だが何で俺がこんな目に遭う!!?



「やっぱりその方が即効性があるな。旭!!!」


「判りました、久遠様~」



待て…。


旭、ちょっと待て…。


俺は旭を止めることも出来ねば、声も出ず。



「久遠様。司狼を呼び寄せますか?」


蓮だけが至って落ち着いていて。


「あいつはまだ"探させて"いろ。仕事をさぼって、ゴーカートを乗り回して遊んでいた罰だ。どうせ後で行く」


「判りました」


遊び人が、何を偉そうに。


「何か…言ったか、紫堂櫂」


強くなる紅紫色。


俺は顔を歪ませて抵抗する。



その時、


「きゃははははは~。久遠様~。草持ってきたよ~」


――何だ?


この…。

鼻が曲るような悪臭…。
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