シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
これは、ただの視線ではない。
このまま視線を受け続ければ、明らかな弊害が起こる。
それは本能的警告だった。
俺は、意識的に心を閉ざした。
――よいか坊。悪意の精神攻撃を受けた際には、心に防御壁を築いて心を守れ。意思の強さが壁の強度となる。
完全遮断(シャットアウト)。
見せない。
俺の心の内は誰にも。
――だがそれは緊急措置であり、根本的解決ではない。坊の意思が続く間に、元凶を見つけ出して潰せ。
誰だ?
何処からの視線だ?
薄く開かれたドア。
あそこからか!!?
俺は慎重に近付いていき――
そのドアを開けた。
そこで見たのは――
真紅色。
鮮血が飛び散った空間で。
だがその真紅の出処が見当たらなかった。
つまり…誰も居なかったんだ。
それを不可解に思いながらも、
俺に注がれる視線に注意は戻る。
別の場所から、視線を感じたんだ。
俺は視線を追って、早々にその部屋から出た。
何処だ!!?
しかし特定が出来ない。
ぶれる。
視線の場所を、明確に走査出来ない。
視線を追って次々にドアを開けど…そこには同様な真紅色ばかり。
中には人間は居ない。
あるのは、別の場所から向けられる視線だけ。