シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
今に見てろ、久遠。
後で倍にして返してやる。
「なあ…由香。紫堂櫂のあのボロ布は本当に何だ? あれを目にすると、益々久遠様の機嫌が悪くなるんだが。珍しいぞ、久遠様が此処まで積極的に堂々と"嫌悪"を示されるとは」
「はははは。いつも"嫌悪"だけは示しているだろうけれど、やっぱり"センサー"ってものはついてるんだな。今回は見て見ぬ振りできずに、確かにいつになく"積極的"だ。無意識に感じ取っているんだな。
蓮。あの布の秘密を喋ったら、久遠がこれ以上なく究極的に機嫌悪くなって、あの大鎌ふるって"すっぽーん"と紫堂の首を刎ね、速攻あの世に送り返しそうな危険がぷんぷんだから…遠慮するよ」
「もっと食えったら、食え!!!」
「あれ、旭が大好きな"赤い"布~。こんな"スケスケ"?」
「旭、君はまだ持っていたのかい、その"スケスケ"!!?」
「何だよ、お前を回復させてやろうという、オレの優しい心を…何でそんな目で返すんだよ。この恩知らず。だからお前、せりにふられてめそめそ泣く羽目になってるんだ。因果応報だ」
絶対――
――あたし、神崎芹霞は!!!
俺は――。
「お前達のせいだぞ、旭におかしなこと教えて。旭は手を洗った後、必ずそれで手を拭いて、広げて私達に見せるんだ!!」
「ボ、ボクじゃないよ、教えたのは如月じゃないか!!!」
「何だよ、お前また泣いているのか? また懲りずにせりにふられたのかよ?」
――紫堂櫂を愛してる!!!
負けるものか。
俺は絶対。
「うわっ…草食べる度に、この汚い布で口拭くなよ。効果が薄れたらどうするんだよ!!!」
芹霞。
芹霞。
言いたい奴には言わせておく。
所詮何も知らない奴の言葉なんて、ただの戯れ言だ。
俺には…お前の"心"が近くにあるんだ。