シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
そして、応接間で玲は、見えない敵のことも言っていた。
自警団及び制裁者(アリス)が持つ武器として、青光を発していた黒い万年筆は、爆発する金の万年筆に変わったという。
虚数というものが純金に触れると爆発するという。
それを聞きながら思い出していたのは…中継中、やけに久涅が手でくるくる回していた金の万年筆。
何で…そんなものをあいつは持っていた?
何で…わざとらしいくらいに、回していた?
意味が…あったんじゃないか?
カサカサ…。
模造紙が揺れる。
それを見つめながら、俺はふと思った。
何で…風が入る?
ホワイトボードの裏に回れば、窓が開いていた。
そこから外を見た時、
「!!!」
俺は何かの気配を感じて。
それこそが視線の正体だと思った俺は、窓から飛び出した。
居る。
前方で何かが居る。
俺に気づいて逃げる。
俺は走って追いかける。
逃すものか!!!
俺の方が足は速かったようだ。
距離が縮まっていく。
完全射程内。
もう少しだ。
もう少しで追いつく。
次第に俺が追いかけている"それ"の姿が露になる。
何かが揺れている。
髪?
女か?
華奢な身体。
どくん。
あれは――。
どくん。
あれは!!!!
俺は"それ"の手を捕まえる。
「芹……霞!!!?」
振り返った顔は、
どう見ても…
芹霞の造作を持つものだった。