シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
しかし、俺の動きを制したのは、
「これが――…。
玲くんから、次期当主の肩書きを奪って…玲くんを苦しませた奴ね」
そんな…冷ややかな呟きだった。
それを聞いてしまった俺は、中途半端で動きを止めてしまって。
芹霞から感じたのは敵意。
俺が欲しい愛情ではなく、
玲を媒介とした…敵意で。
常に…玲への罪悪感があるからこそ、玲の存在を大きくさせている芹霞の口から、そのことを言葉として紡がれるのは、まるで心を抉られている心地だった。
俺は…どうすればいい?
芹霞は、何もなかったように笑った。
「幼馴染の煌がお世話になってました。
…"初めまして"、神崎芹霞です」
完全なる…よそよそしい他人顔で。
「よろしくね、紫堂くん」
――芹霞ちゃあああん!!!
俺の目から、涙が零れた。