シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
  「紫堂玲。お前達が乗ってきたヘリは…あの胡散臭い青い男のものか?」

久遠の言葉に、僕は頷いた。


「氷皇以外であんな青いヘリ作る人間が居たら、その精神を疑うよ」


僕は色々思い出す。

青尽くめの…更にはティアラ姫のトレーナーまで。

目くるめく…青の過去。


忌々しい…。


「なあ…この機械に直接触れていないのに、虚数のウイルスが蔓延したのは、あの青いヘリの機械からの遠隔操作だろう? 

こちらはネットが繋がっていないのに、氷皇の機械は関係なかった…ということは、あのヘリ内の機械もまた…独立した電気系統を持っているんじゃないか?」


そうだ。

そうじゃないか。


少なくともあのヘリの機械には、ネットが繋がっている。

だったら。

最低限、僕のメインコンピュータが繋がるかどうか判るじゃないか。


「あのさ…単純なこと聞いていい?」


由香ちゃんが渋い顔をして聞いて来る。


「五皇の領域ってさ、誰もが手出しできない独自の領域なんだろ? だったらさ…どうして、今は居ないとはいえ…白皇の領域に、氷皇の領域が割り込んでこられるんだろう?」


え?


「五皇が築いた独自の領域に、他の五皇がまた別の独立した領域を確保できるんだろうか。その部分だけ、突然変異のようなこと…出来るんだろうか」


「五皇同士なら、"例外"があるのかな…」


しかも相手は、謎が多すぎる氷皇だ。

久遠から聞いた。


五皇は昔、赤と黄があったこと。

そして今、紅と氷がそれに成り代わったこと。


「五皇の歴史…知りたいね…」


由香ちゃんが嘆いた。


すると蓮が、両手いっぱいに紙の束を持ってきて。


「これはデータ消失の前に慌ててスキャナから紙に転写したもの。古文書データも混ざっているが、レグの日記が大半だ。もしかすると此処に答えがあるかもしれない」


と、僕の前に置く。


そしてまた、両手いっぱいの書類を抱えて現れて。


「さあ、これもそうだ」


と、僕の前に置く。


再び、両手いっぱいの書類を抱えて現れた蓮。


「順番はばらばらだ。慌てて片付けたから。気をつけろ」


更に、僕の前に書類の山が出来た。


もしかして…この中から僕に探せと?

或いは、何が書かれているか…情報を集めろと?


え? こんなに人数いるのに?


僕1人?


本気で?


コンピュータじゃなく、紙で?


そんな手間と時間がかかる原始的方法で?
< 1,278 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop