シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「…久涅は何で闇石を持っていたんだろう?」


僕は首を傾げた。


守護石は1人1つしか持てず、他人とだぶることはない。

僕が生きている限り、月長石は僕以外が持つことはないだろう。


櫂の闇石…血染め石(ブラッドストーン)もまた然り。

ただ櫂の場合は特殊で、櫂が生まれた時から2つに割れているという。

そのうちの1つは元老院…藤姫に渡ったが悪用されて喪失、残り1つは8年前に芹霞の仮初の命となり、2ヶ月前藤姫にそれを狙われた。

そして今、更に2つに割られてはいるものの…その時も、8年前も、久涅という存在の影はなかった。

どう考えても、時間軸的に…櫂の闇石を、久涅が持ち得ることはありえない。


13年以上前に久涅が自らの守護石として、闇石を持っていたというのなら、逆に…後で生まれた櫂が闇石を持っている方が不可解なこと。



「あいつが、石の力を使い始めたのは?」


久遠が問う"あいつ"とは、櫂のことだろう。


「多分、8年前。僕が次期当主を排斥されてからのはずだ」


僕と対峙した時は、剣すら持つのが初めての様子で。


全ては――芹霞の為に。

櫂は…強くなったんだ。


「13年前、久涅の元にあった闇石。その時にはあいつは既に生まれているか…」


久遠は目を細めて少し考え込んで、



「模倣したのは…どちらだ?

あいつか、久涅か…」



そんな呟きが聞こえた。



模倣…?


僕の頭に、また『TIARA』が思い浮かんだ。


< 1,289 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop