シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



「久遠、その鎌、ちょっとだけ石に戻してくれ」

「!!!!!!!」


どうして…固まる、久遠。

珍しく隙を見せた久遠に、放たれる黄色の手刀を僕が代わりに弾く。


「い、今、鎌は攻撃中だ!!!」


どうして…どもる、久遠。

大体…今はまだ攻撃してないじゃないか。



「ねえ、その石…」


「!!!!!!」



久遠の目が…初めて紅紫色になった。


どうして…ここで激情する、久遠。



「それさ、もしかして…」


僕が芹霞に上げた金緑石(アレクサンドライト)に、似てない?


そう言おうとした時だった。




「うわわわ!!!

師匠、うわわわわ!!!」



応接間を通り過ぎてから、まるで急ブレーキでもかけたかのようにして、また戻って来た由香ちゃんが叫んでいる。



「師匠!!!

どの部屋も、血糊べったりで誰も居ないよ!!! 避難者も司狼達も!!!」


「「何だって!!!?」」


僕と久遠は同時に叫ぶ。



「芹霞は!!!? 芹霞は居なかった!!!?」


「いない。神崎も紫堂も!!!」


何だって!!!?



ガキン!!



久遠の鎌が男の布を切り裂いた時。


金属が斬り付けられるような、不快な音がした。



「!!!!?」


そして見えたのは…鋼の鈍い銀色。



男は――

鋼の体をしていた。



「これは――!!!?」



手が弾かれる硬い感覚がこの鋼故だとしたら、この男の全身は鋼に覆われているということになる。


それは外部的な防護機能というより、もっと親密な…身体の構成部分となっている気がした。


久遠が振り下ろした鎌の刃。


男が腕でそれを弾こうとすると…

青白い光が飛散した。


最初、鋼同士の摩擦かとも思ったけれど、やはり違うんだ。


ぱりぱりとした青白い…これは電光。


電気の力を持つ僕が、見間違えるはずはない。



「機械…?」



この男の体は…機械なのか!!?

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