シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「煌、緋狭さんは桜に任せろ。何だかおかしな気を緋狭さんは纏っているようだけれど…途中で何があったか話せ。今は櫂と芹霞を探し出す方が先だ」
「お、おう?」
馬鹿蜜柑は、玲様の早口と事態の…展開の速さについていけないようで。
いや、ついていけずに完全取り残されているのは皇城翠だけかもしれないけれど。
猿に豆鉄砲だ。
「よし、じゃあ行くぞ。桜、僕が帰るまで頼むぞ。任せたぞ?」
そういうと、いつも以上の…倍速のスピードで、何やら物騒な剣を掴んで、煌と共に外に出て行ってしまった。
と思ったら戻ってきて。
「一応…久涅対策に、貫通化の小猿も連れて行く」
ぐるぐる巻きにされたままの翠を、煌が肩に担いで。
そんな状況に、翠はついていけていないようで、ぽかんとしたままの顔で、されるがまま。
まるで猿の置物だ。
玲様…
心臓、大丈夫なんですか?
そう問いかけようとした時には、玲様の姿は既になく。
「電光石火。まるで…白い…稲妻だな」
そう呟いたのは、私の知らない大男。
「『白き稲妻』は、何でも1人溜め込んで策を練る参謀タイプかと思ったが…命令を出す司令塔タイプなんだな、本来は。まあ…次期当主を出来るくらいだし。
…具合悪いくせに、やけに顔は活き活きとしてたな。余程、お前さん達が現れて、心強かったんだろう。がははははは」
そう、豪快に笑った。