シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「辛い選択だったね…葉山…」
八の字眉で遠坂由香が言った。
私が語った…此処に至るまでの経緯。
語り終えた時、場には…なんとも言えない重い空気が流れていた。
責められているような、哀れまれているような。
久遠は何も言わず、天井を仰ぎ見ていて。
サイドテーブルに山積みにした書類の山には目もくれない。
それに対して傷を抉れるような…そんな空気ではなく、私もまた、天井を見た。
「確かに、どう考えても答えが出ない…辛すぎる選択だったけれど…決めたのは…馬鹿蜜柑です。任せたのは…私。結局は、連帯責任…です」
「如月? 何か意外だね、如月なら…ぐだぐだ悩んで結論つかずのような気がするけど」
遠坂由香の声に私は頷いた。
あの時――。
――5つ、ゆっくり数えてやろう。その間相談すればいい。
そう雄黄が笑った時、私は悩む時間すらないことを悟った。
緋狭様か、玲様か。
私以上に惑っているのはきっと馬鹿蜜柑の方。
顔から色味がなかった。
「5」
どうする!!!?
再びちらりと見た馬鹿蜜柑は。
今度は驚いた顔をして呆けていた。
「はああああ!!!?」
何で今頃声を上げて驚くのか。
更にその顔は百面相。
赤くなったり青くなったり。
駄目だ、頭がショートしてしまったようだ。
「4」
そんな男に相談などは愚かしい。
私が決断を下さねば。
緋狭様か、玲様か。
本当に…選ばないといけないのか!!?
他に手立ては無いのか!!?