シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「3」
「だけどよ…」
馬鹿蜜柑の中で葛藤が起こっているらしい。
「待て待て待て!!!」
ぶつぶつとした言葉が、私の思考の邪魔をする。
「はぁ…仕方がねえ」
俯きながらがしがしと橙色の髪を掻いて、上げたその顔は。
当惑困惑…あらゆる惑いに乱れてはいたけれど、騒がしい表情は落ち着き、次第に…神妙な、難しい顔を始めて。
「2」
そしてその顔のまま、馬鹿蜜柑が私に言った。
「桜。頼むから、俺に任せてくれ」
それは…酷く真剣な顔だった。
「これが最善の策だ」
そう言い切ったから。
「1」
私は…この男の"本能的解決"に賭けてみようと思ったんだ。
頷く私の耳元で、馬鹿蜜柑が囁いた。
――陣に飛び込むのは、消えるギリギリだ。
その言葉に、私が顔を顰(しか)めた時、
「5つ数えた。
選択は…如何に?」
愉快そうに笑う皇城雄黄は。
その顔の造作こそ上品で柔和だけれど、何処までも悪しき色に覆われていて。
これは…獲物を捕える肉食獣の目。
しかも…冷酷だ。
周涅など…比較対象にならないかもしれない。
これが…誉れ高き皇城雄黄?
そして彼は判っているのだ。
私たちの出す結論を。
煌はどう出る?
何て答える?
煌は――
「緋狭姉を助けてくれ」
そう震えた声を発しながら、頭を下げたんだ。
私は…無性に悲しくなった。
玲様…。
――助けてくれ。
玲様…!!!