シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「友より…師を選ぶか」
雄黄の笑みは満足そうで。
それは…彼の予想通りだったのだろう。
その意味ありげな視線は、朱貴に向けられた。
俯いている朱貴はそんな雄黄と視線を絡めることなく、ただ七瀬紫茉を両手に抱いて突っ立ったまま。
皇城翠は…涙で潤んだ目で煌を見ていた。
「命より優先させるべきものはねえ」
顔を上げた馬鹿蜜柑は、いつになく凛々しい顔をしてそう言い切ったけれど。
だけど…判る。
付き合いは長いんだ。
煌の心は慟哭している。
それでも緋狭様を選んだのは苦渋の決断。
下せたこと自体、私には驚きだった。
――助けてくれ。
心許した者からの"懇願"に弱く、情に厚い馬鹿蜜柑が、こんな簡単には玲様を切り捨てられるはずがなく。
それなのに、ここまで緋狭様だけの助命を求めるのは、不思議といえば不思議で。
「緋狭姉を…
救う方法を教えてくれ」
再度頭を下げたんだ。
「よかろう。では…約束通り教えてやる。
紅皇を救う方法は――…」
方法は――