シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
鳩尾に衝撃。
久涅だった。
「もう良いだろう、義弟よ。
お前の限界だ。
お前は…小娘に選ばれなかった。
さあ、小娘――」
違う。
俺は!!!!
「嫌、触らないで!!!!
その顔、見たくないッッッ!!!」
芹霞は…
手を差し伸べた久涅を突き飛ばして。
俺と同じ顔というだけで、その手を払って。
その時の久涅の顔は知らない。
どんな悲痛な表情をしていたかなんて、気づく余裕はなくて。
芹霞の手を見ていた。
助けを求めて伸ばした手は――
「煌、煌ッッッ!!!!」
煌に向けて。
「煌、煌…助けてッッッ!!!」
「芹霞!!!」
伸された煌の手。
俺の心が悲鳴を上げる。
――櫂、だあい好き。
―-紫堂櫂を愛してる!!!
「煌。
お前まで――
俺を裏切るかッッッ!!!!」
パリーーーン。
硝子が割れたような音がして。
体から…力が迸(ほとばし)る。
風が――
吹き荒んだ。
荒れ狂う…
俺の心の中が…外に出たように。
タスケテ!!!
――芹霞ちゃああああん!!!
タスケテ!!!