シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

紫堂櫂は目を閉じ、意識を失ったようだった。


煌が――

ぐったりとした紫堂櫂の身体を抱きしめ、声を忍んで泣いていた。


慟哭以上の、悲しさをあたしは見た気がした。


煌にとって、憧れだった漆黒の主。


煌を此処まで悲しませたのは…あたし?

そう思ったら、あたしも泣きたくなってきた。


ふ…と、煌が紫堂櫂の頬を殴る場面が、再生された。


前にも…こんなこと、あった?


オモイダスナ。


あるわけない。


すぐに否定する。


シドウカイハ


紫堂櫂と会ったのは、これが初めてだもの。


こんな…玲くんを見殺しにするような人と、関わった記憶ないもの。


ソンザイシテイナカッタ。


そんな人と…関わり合いたくないもの。


ホントウニ?



それよりあたしは――



「玲くんッッッ!!!?」



玲くんの元に駆け寄った。



「玲くん、動かないで!!!?」



玉の汗をかいて土色の顔をした玲くんは、心臓が苦しいのか痛いのか、片手で心臓あたりに爪をたて、もう片方は地面を深く引っかくようにして、ずるずると少しずつ…前に進もうとしていたんだ。


動けるような状態ではないのに、

それでも動こうとしている。


這いずるような姿勢のまま…


玲くんが向おうとした処は…

紫堂櫂の場所?

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