シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
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あの時…

玲様と煌が出て行った後――。


私の回復結界が張られた中で、腹立たしい情報屋の拷問が行われていた。



絶対堕ちないと豪語していた聖。


――黙秘権や。


――此の地の法律はオレだ。お前に黙秘権などない。吐かせてやる。



裂岩糸に巻かれたまま、


――やれるもんならやってみぃ!!!


そう威張り腐ったから。


久遠は、帰還したばかりの旭に命じた。



――旭。こいつにクサを食わせろ。


屋敷からは人間達が消え、そして旭と司狼も消えていたという。


他の者達はどうだか判らないけれど、旭はどうやら――。


倒れた司狼を心配する余り、司狼を背負って…"クサ"だとかいうものがある場所に連れていき、直接食べさせていたらしい。


そして何故か気絶してしまった司狼の為に、更に沢山のクサを抱えて屋敷に帰ってきた…処を、タオルを取りに部屋から出ていた蓮に見つけられた。


――ふむ。本物だ。

蓮の鏡により、真偽は証明されたようで。


クサの威力は凄かった。

離れた此処からでも…鼻が曲りそうな悪臭放つソレ。


人間界にこんなものがあることが信じられない。


口に入れたら意識を失い、気を失った処で口に含まされれば、無意識でも体が拒否反応を示し、意識を戻すらしい。


延々と続く…苦痛の円環。



「うわ~、よくそんなこと思いついたね。しかも自分は指1本動かずに、高見の見物かよ。久遠鬼畜~」

「拷問という名目があってきっとほっとされている。そうでなければ、旭の持ち帰ったクサは、久遠様が全て口にすることになったであろう」



「わわわわ、もうあかんて。勘弁や、旭はん、勘弁や」

「きゃはははは~

"カンベンヤ"、"カンベンヤ"~」

「は、話が通じん…。うっぷ…」


聖は久遠の宣言通り、その場で…吐き出して。


「ぎゃああああ!!! 吐くな、飲み込めよ!!!」

「旭、更にクサを追加」

「判った~。きゃはははは~」

「あかん。もうあかんて…うっぷ」

「旭、更にクサを。口だけではなく、服の中にも入れてやれ」

「判った~。クサ、クサ~」

「服、破ってまで入れることないやろ~。うっぷ…強烈過ぎ…うっぷ…」

「旭、具合悪そうだ。全て投下!!!」

「判った~」

「!!!!! ウチの負けや、降参や~!!!」



聖は…堕ちた。


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