シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

サイドテーブルに目を落とせば、ティッシュの上に置かれた薬が数錠。

目覚めたら飲めということなんだろうか。

目覚めたら飲ませるつもりだったんだろうか。


ダレガ?


最後に薬を飲んでから、何時間経っただろう?


壁時計を見ると、今は11時を少し過ぎた処で。


ぎりぎり…飲める時間帯だと判った僕は、それでも薬を半分に割って、それだけを口に入れた。


今日は…薬を飲み過ぎている。


体は気怠くて心臓もまだ不安定な動きをしているけれど…これで済んで無事目覚められたのは奇跡的かも知れない。


薬の効果だけではないだろう。


多分…桜の回復結界と、

口に拡がる…悪臭の名残。


意識がなくて本当によかった。



「………」



部屋には…誰も居なくて。

僕1人だけしかいない。


しんと静まり返っていた。



――玲くん、よかった!!!


泣いて喜ぶ芹霞の姿など…


「あるはずないよね…」


未練と妄想で構成されている僕は、希望と現実の差を思い知らされて、切なくなって思わず項垂れた。


――玲、目覚めたか?


微笑む僕の従弟もそこにはいなくて。


僕は…1人ぼっちで。



寂しい。

寂しいよ…。



ソウサセタノハダレ?




ドタドタドタドタ…。



そんな時――



ドタドタドタドタ…。



騒がしい音がして、ドアが開く。




「玲、玲、玲!!!!


良かった、目覚めてたんだな!!!」



目に鮮やかな橙色に、



「俺は――

俺達は――


お前が必要だ――ッッッ!!!」



僕は…その肩に担がれたんだ。


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