シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
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機械室――。


「何だよ、これは!!!」


肩から下ろされたのは大画面前。



床には魂が抜けたような男達が、真っ赤な目をして涙を流して転がっている。


「アオワンコ~」

「シロワンコ~」

「クロワンコ~」


三沢さん、皇城翠、この金髪は…?


譫言のように呟かれる"ワンコ"。


中途半端な位置で彷徨う各人両手の指先が、引き攣っているかのように痙攣している。


まるでてんかんにも似たショック症状のよう。


何、一体何!!!?

そこから少し離れた処に、由香ちゃんが居て。


「由香ちゃん、大丈夫!!? どうしたんだ!!?」


すると由香ちゃんは、真っ赤な目をかっと見開いて。


「クククッ…残念だが邪気眼を持たぬワンコには教えられん」


「……」


「…………勝てねぇ…。……勝てねぇよ……。…こんなヤツがワンコだったんじゃ、…勝てるわきゃねぇやな…。へへへへはははははははは」


「……」


駄目だ。

厨二病…発症だ。


「"ワンコ"~、"ワンコ"~、

きゃははははは~!!!」


カタカタカタ…。


画面の機械を弄っているのは旭?

対照的な…元気な旭の声だけが反響する。


だから、ワンコが一体何!!?



「チビ、代われ!! 玲と代われ!!!」

「ええ~」


「ぶーたれるな!! お前今、骨1つ無くしただろうが!! 権利無し!!! 玲に代われ!!!」


骨…?


僕は…画面で点滅している骨マークを目にした。


とりあえず凄い剣幕の煌に、画面前の席に座らされた僕。


な、何をしろと!!?


「ワンコを叩け!!! いいか、白と青は叩いてよし、だけど黒は無視して、画面と同じ場所のキーボードのキーを叩け!!!」


「え!!!? え!!!?」


訳が判らないまま、反射的にその通りに僕はキーを叩く。

ゲームに反応する僕の指って…何?


「紫堂玲」


後から聞こえてくるのは、涼しい顔をして紙を読んでいる久遠で。

確かに、書類に目を通せとは僕言って出たけれど…こんな何だか判らない時までそれを読んでいろとは言ってないし。


久遠の目は、綺麗な瑠璃色のままで。

血走った名残はなく。


「10000点毎にハートが1つ増え、ハートが30個貯まればCLEAR。

犬は白、黒、アオの3種で、0点、1点、-1点がランダムに変わる。左下を確認しろ。-1は叩かなくてもいいが、0は叩かなければ-1減点。

得点は右上。つまり、少なくとも1点の犬を30万回、対応するキーで叩け。

得点が無くなってしまうと、ライフゲージが消えるから気をつけろ」


久遠の説明。

そして煌に促されるまま、僕も強制参戦。



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