シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
何?
何で僕、こんなことしてるの!!?
しかも…なんだよ、この速度。
凄まじい早さで犬が画面に出てきて。
0.1秒以下の反応がなければ、叩けていないとみなされて減点されてしまう。
「一体、何だよ、これは!!!
どうしてこんなゲームをしないといけないんだ!!?」
純粋すぎる疑問を、僕は口にして叫んだ。
「お前宛の青い手紙の結果だ」
「僕宛の?」
青い手紙…。
――あははははは~。
また!!!?
胡散臭いものしか感じ取れないんだけれど…。
「葉山から落ちた青い封筒。
『アイするレイクンへ』。
書かれていた暗号は"魔の巣窟"だかのデータを開く第2のパスとなったが、胡散臭いアイ…そのAI(エーアイ)ゲームを何とかしないと、データ内容が参照できん」
「え!!? は!!? あ、やば…」
何で氷皇が"魔の巣窟"に関わってくるんだ!!?
あのシステムを構築したのは僕なのに、何で氷皇のパスを必要としてるんだよ!!!
そんな条件、知らないよ僕!!
というより、このゲームとの関連性は何だよ!!?
カタカタカタ…。
「流石に…玲は早いな…」
煌が感心したように僕の手元を見つめている。
「しかし…明らかにキーボードの半分以上の犬が出てくるのに、キーを叩いてミスなく得点あげれるって何よ? お前の指、10本以上ないよな?」
「師匠は~全能神だからさ~…がくっ」
「きゃははははは!! 由香ちゃん、クサ!!!」
「旭、ボクは元気だぞ!!!」
うわっ…。
あのクサの臭いがするよ。
機械室に持ち込むなよ。
「しっかし、あのクサなんだろ? クサ食べさせれば、そこのサルとクマとトリが蘇って、ゲームしては死んでいくんだけれど…流石にもうやばい目してるし」
ぶつぶつと呟かれる煌の言葉が推測するに、あのクサで繋いでまで、皆でこのゲームをしてたらしい。
カタカタカタ…。
「あの~…。目、目を…洗いに行ってもええか? 見えんし痛いわで、涙がとまらへん…。すぐ帰ってくるさかい、後生やから目を…」
「お前、何様のつもりだよ!!! お前が機械使えたから、"スペア"として生かしてやっているだけで、緋狭姉にしでかしたこと、忘れてるわけじゃねえからなッッ!! お前、この機に乗じて、逃げだそうとしてるだろ!!!」
「ちゃうちゃう!!! 出来れば目薬も持って来て、皆はんと痛みわけを…」
「信じられるか!!!」
「きゃははははは~」
カタカタカタ…。
「うるさいな」
僕が苛立って声を低めると、煌が飛び上がった気配がする。