シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「やべ、えげつなくなってきてる。久遠、俺が付き添うから、下の洗面台に行ってくるわ。このままだとこいつの口が煩くて、玲の邪魔になる」
「きゃはははは~」
「お前も喧(やかま)しいんだよ、チビ!!」
「如月。旭にクサを持たせて、お前は此処に残れ。旭が近付けば、そいつは条件反射で体が硬直するから」
「あ? まあいいけど…小猿、クマ!!! お前達は…いい? じゃあそこでゾンビになってろ。おい、チビ。こいつが逃げだそうとしたら、口にクサを詰めるんだぞ?」
「判った~。きゃははははは~」
カタカタカタ…。
「え? え? 移動なのに…糸解いてくれへんの?」
「それは桜以外には解除できねえし、そこまでの慈悲はやらねえ。手が自由になることだけでもありがたいと思え!!」
「ええ~!!!? 階段とかどないするんや」
「逆立ちか、ぴょんぴょん跳ねればいいだろ!!!」
「きゃはははは~。"ぴょんぴょん"、"ぴょんぴょん"。旭も一緒に"ぴょんぴょん"、"ぴょんぴょん"。はい、一緒に"ぴょんぴょん"、"ぴょんぴょん"」
「……。……。……はあ、アホハット、お前下手だな飛び跳ねるの。何でこんな身長差あるのに、チビに跳躍負けてるんだよ」
「あ、旭はんが…おかしいんや。なんや…このジャンプは。ウチ、肉体派とちゃうねん。もっと…一般ピープル用に…ぜえぜえ…」
「お前おっさんか!!? 同じおっさんでも久遠だったら…」
「オレは19だ」
かさり…。
「はいはい。お前、跳躍の姿勢がおかしいんだ。こうだ、こう!!! ほら、足首をもっと柔らかくッッ!!! そうしたら綺麗に飛べるだろ!!?」
カタカタカタ…。
「……。……。…うるさいッッ!!!」
僕は怒鳴る。
「ひいいい、何やねん、ウチのせいか、ウチの…「旭、早くこのアホドリ連れて行け「きゃははははは~!!!」
ぴょんぴょん、ぴょんぴょん…。
「なんやねん。何でウチこんな…」
「きゃははははは~!!!」
ぴょんぴょん、ぴょんぴょん…。
「旭はん、早いっちゅ~の!!」
「きゃははははは~!!!」
ぴょんぴょん、ぴょんぴょん…。
カタカタカタ…。
ふう…。ようやく行った。
ぴょんぴょん、本当に飛び跳ねて行ったようだ。
カタカタカタ…。
「ああ玲、力は使うなよ、心臓に負担かかるからな。お前なら指だけ動かせればいいから」
「煌、本当にこのゲームをし続ける必要があるのか? こんな時、暢気にゲームをしてるなんて…」
やっぱり…ゲームの必要性が判らない。
カタカタカタ…。
そう思えど…指が止まらないのは性分なんだろうか。