シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「紫堂玲。"魔の巣窟"を開くパスワードはヘリの機械から由香が入手した。その後、青いパスを聞かれてあの暗号結果を入れたら、ゲームが発動されたんだ。
本当は7つの骨…ライフゲージがあったが、得点がマイナスとなり、骨が1つ消える度に"約束の地(カナン)"が爆発する。つまり現実(リアル)に対応しているんだ」
久遠の声。
「ば、爆発って…何でだよ!!?」
「知らん。お前宛の手紙を解読した結果だ。お前が責任を持て」
まさか、僕のせいだって言いたいのか?
――あはははは~。
「この…数字は何だよ、減ってる数字は!!!」
「知らんが、この調子だと…0になったら、爆発以上のことが起きるかも知れないな。ちなみに…ハートを1つ取る度に、10増える」
僕がやり始めた時は、9しかかったものが、今は50まで回復したんだけれど…
「何でこう突然ランダムに-1のワンコが変わるんだ!!!?」
その罠(トラップ)にやられて、減点され。
「ミス得点-30毎に、時間は-10だ」
それに気をつけて、何とかハートが貯まると思えば。
「はああああ!!? 何だ、このエロワンコは!!! 何で煌、僕から心を奪うんだ!!!?」
「俺じゃねえって!!! それは変態オレンジワンコだろ!!!?」
「ああ、1つハートを無くす度に、-5だから気をつけろ」
エロワンコが出て来ると、時間が1桁にすぐなってしまい、更には得点は0に戻っていて。
また1万回1点の犬を叩かないといけなくなってしまう。
エロワンコが出ないようにする為には、ある程度の得点以上にしていなければならないらしく…得点を増やすためには早く犬を叩かねばならない。
僕はもう必死で。
発作を起していたのに、必死で。
何も考える余裕もなく、ただ必死で。
ワンコ叩き如きに、とにかく必死で。
「ようやく…ようやくあと1つ…」
これで終焉が迎えられると思えば。
「これ…何だよ!!?」
突如画面の下から伸び上がる赤い何か。
「これ、緋狭姉だ」
怒れる赤いものが、僕の心を燃やし尽くして…大ダメージ。
「――という状況だ。
健闘を祈る」
かさり…。
紙を捲る音がした。