シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
いつものパターンで考えれば、
このゲームも必然となる。
桜は前もって僕に青い手紙を渡すように言われていたのだろうけれど、どちらにしても…その結果が、"魔の巣窟"データ展開に必要となるパスだったのだとしたら。
"約束の地(カナン)"におけるデータ損失は必然で、その後にその手紙は必要となることもまた必然で。
つまり――
今のタイミングでこのゲームをすることも必然と考えるなら。
更には、それが"約束の地(カナン)"の爆発…現実(リアル)に対応するというものであるならば。
これはただの、僕達をからかっただけのゲームではないということ。
そしてCLEARを狙わせる気があるならば、何も此処まで難易度を上げる必要も無く。
難易度…そう僕や由香ちゃんを辟易させるゲームを作れたことが不思議で。
これならまるで…此の場に縛るためのゲームのようで。
縛る…?
僕に…閃くものがあった。
「これは…CLEARさせない為のゲームじゃないか?
多分、何をしても…終われない、そんな気がする」
僕の呟くと、場の全員が僕に視線を向けたのが判った。
「「「「「はああ!!?」」」」」
「だとしたら、意味は何だ…紫堂玲」
このゲームの基本的ルールは、犬を選んで叩くこと。
基本形を踏襲しているのは、間違いなく。
それはゲームの原点というべき基本所作。
そしてその中から、ルールに則ったものだけを選ぶというのもまた基本的。
しかしそのルールが途中で変わるというのは…このゲームの特質。
「原点に立ち返り…変わったものを見つけ出せ?」
ふと、そう口にしてしまった。
「あ!!? 何でよ、何でそう思えるよ!!?」
煌が説明を求めたが、無視して更に考えた。
「それだけじゃないな…きっと」
0点と1点と-1点…。
「電脳世界…?」
0と1と…虚数。
きっと…このゲームの世界は、何かを模倣している。
「うわ、また緋狭姉!!!」
終焉に向かうものを引き戻す…それも意味があるのだとすれば…。
「このゲームは、終わらせるものではなく解釈させるものだ。
解釈するまで…ずっとやらされ続ける。
逆に言えば――
解釈をして…その指示に従えば、きっと終わる」
多分は…。
「つまり。
このゲームこそが、第二の暗号だ」
それは…氷皇に慣れた故の確信めいたものだった。