シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「よし、久遠様が時間を出された。そちらの"けいたいでんわ組"はどうだ?」
あたし達の掛け算。
「○■※△〒◇!!!」
まず猿は――
人外の言葉を吐いて脱落。
犬は紙一杯に
『おれ × せりか = オス オス メス オス メス オス メス オス』
「如月、君は子犬を何匹作る気だいッッ!!!」
そしてその計算式(?)の下には、
『掛け合わせるのに、"あの域"は必要か?』
訳の判らない言葉を書いて、ハテナマークを沢山飛ばしている。
ドガッ!!!
「いてえな、久遠!!! 足蹴るなよッッ!!! 長い足の自慢か!!?」
駄目だ、この犬…計算して正解しようとする気がまるでない。
クマ男と由香ちゃんは、互いの紙を「いっせーの~せっ!!」で見せ合った。
クマ男『362880』
由香ちゃん『362980』
「「違うのか!!!?」」
多分、どっちかが間違っているんだろうけれど…。
「ええッッ!!!? 1×2×3×4×…多分ボクが違うよね。結構頑張ったんだけれど…」
「いや俺かも。手計算なんて久しぶりだし。9×8×7×…」
カキカキカキ…。
カタカタカタ…。
「クマ!!! ボクが間違ってた!!! 答え362880!!!」
「おお~!!!」
感動してハイタッチする2人に、久遠が一言。
「30万点でハートが全て溜まるのに、30万超えが答えになるのか?」
ぴたりと2人の手…というか全ての動きが止まり。
「久遠。だったら、正解は?」
普通にあたしが聞いたら、
「せり。随分人事のようだが、君は解を出したのか?」
どきっ。
「芹霞、ずりーッッ!!!」
「訳の判らんこと書いてたワンコに言われたかないわッッ!!!」
思わずワンコの胸に頭突きする。
「あたしの答えはもう出てるもん!!!」
「「「「え!!!?」」」」
煌、由香ちゃん、小猿くん、クマ男の他、久遠と蓮も驚いた顔を寄越して。
カタカタ……カッ。
「やばっ…」
カタカタカタカタ…。
乱れたキーボードの音と呟きからして、玲くんも驚いたようだ。
何で皆、そんなに吃驚するんだろう。
あたしはぷうと膨れた。