シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「嘘だ。絶対、芹霞は嘘ついてる!!! お前計算した名残がねえじゃないか!!! ただぽけっとして皆の傍観してただけじゃねえか!!! お前、久遠の真似したって、頭の作りが違うんだぞ!!!?」
煌が人差し指を突き付けて、問答無用とばかりに決めつける。
「お前は、俺側の奴だろ!!!? 俺の味方だろ!!!?」
何でだか…このワンコは、捨て犬みたいな目をして、あたしに訴えかけてきた。
「せり。答えは?」
真っ直ぐな…紅紫色の瞳に、多少…揺らぎながら、
「0」
あたしは答える。
「「「「ゼロ!!!?」」」」
一斉に上がるは、驚愕の声。
「だけど自信ない。皆…というか2人だけ、ばりばり計算してるし。しかもおんなじ答えの人いないから、どうせ却下されるだろうし。
0があれば、何を掛けても0になると思ってたんだけど、間違いだったんだね。やっぱあたし計算苦手だわ」
カタ…ッ。
「やばっ…」
カタカタカタ…。
やけに静まり返った部屋に、玲くんの声と乱れまくったキーの音が響く。
「小猿。携帯って…0あったか?」
「多分あったような…」
「あったっけ?」
「うーん、俺、頭も老化してきたんだろうか」
「…蓮。"けいたいでんわ"というものは、"0"はそんなに特殊で見え難いものなのか?」
「でんわ…というくらいですから、0は普通にあるように思いますが…」
「あははは、どうせあたしの出した答えなんか間違っているだろうから気にしない「携帯に0の番号があるのなら、せりの答えが正解だ。0は何を掛けても0なのは常識」
神のような久遠様の声が聞こえた。