シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「久遠様、もしや…あの封筒に入っていた怪しげなものでは?」
「ああ冗談だと思ってロクに中身見ず、下に捨てて…」
「下、下だね!!!?」
「玲、俺持ってきた。これだろ?」
すると玲くんは煌からその紙を奪い取り、何度も何度もその紙を見た後、ふらついた。
慌ててあたしと由香ちゃんが玲くんを支え…由香ちゃんは玲くんの手から青い紙を取って、その中身を見た。
「師匠、前の請求書よりも0が多いぞ!!!?」
「早く一括で振り込まないと、僕文無しになってしまう…」
「玲お前、これ払えるのかよ!!!」
「そりゃまあ…僕20歳だからね…成人の常識として…」
「常識!!!? 俺、あと3年でこれだけ貯めなきゃいけねえの!!!?」
「どれどれ…何だよ、これくらい。別に騒ぐもんでも…」
「小猿、お前どれだけズレた坊ちゃんなんだよ!!! それに、元はといえばお前の小々猿が発端なんだぞ!!?」
「そうだっけ? 俺、何かしたっけ? ……。……? んーあまり覚えてない…」
「…大丈夫。僕がちゃんと覚えてるから。しつこくしつこく地獄の果てまでも追いかけて、君にきっちり請求して回収するから安心して?」
「!!!? ワンコ、笑顔の紫堂玲の目が怖いんだけど!!?」
「久遠様。あれだけ貯めるのは、成人の常識らしいです」
「蓮。いつも言ってるだろう? オレは19だ」
「『白き稲妻』!!! 俺のローンの倍じゃないか!!!」
「そう? でもいいよね、三沢さんはお金がなくなっても家が残って。僕は残るものがないんだ。ふふふ、ふふふふふふ」
「やば…師匠が壊れかけてきた」
そう由香ちゃんが言った時、
『次号予告』
画面にそんな字が見えた。
そして画面が切り替わり、何処かの部屋の中と…ベッドに座る女性を映した。
ぶれる画面。
素人の撮影か?
パジャマを着た女性は笑っている。
両手には、小さい赤ちゃんを抱いて揺らしている。
しかし凄く綺麗な人で・・・
あたし、見たことがある気がしたんだ。