シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
誰だろう?
遠い遠い昔…。
脳裏に――
『A long time ago, in a galaxy far, far away...』
(遠い昔、はるか彼方の銀河系で…)
スターウォーズの出だしが思い浮かんだけれど、そこまで昔じゃない。
靄(もや)がかって、思い出せなかった。
女性はカメラの主に笑いかけながら、何かを言っている。
「音量上げるね」
由香ちゃんが機械をいじったら、雑音が大きくなった。
『ふふふ、大丈夫。心配性なんだから…』
髪も瞳も…漆黒。
『最近心臓は調子いいのよ。ふふふ、ありがとう』
玲くんみたいに心臓が悪いんだろうか。
「これ多分…
櫂の母親だと思う。
僕…記憶がある」
玲くんの声がした。
「櫂の母親!!!?」
煌が驚いた声を上げて、画面に見入った。
『私の心臓が健康ならば…もっと子供を生んで上げれるのに。ごめんなさいね、きっとこの子…一人っ子になっちゃうわね』
「櫂の母親は、心臓か悪かったのか?」
「そう…聞いたことがある。死因も…心臓が原因だ」
――芹霞ちゃん、私が死んでも……をお願いね。
ずきん。
頭痛が、何かの声を打ち消した。
『この子、私に似てしまったわね。
黒い髪と黒い瞳…。
貴方のような茶色にはならなかった』
少し画面がぶれて、男の人の声も聞こえる。
撮影主だろうか。