シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「また文字…」



『Time does not drive him mad.

He has put time out of order. 』

(時間が彼を狂わせるのではなく、彼が時間を狂わせているのだ)



『The truth is hidden in the darkness.』

(真実は闇に隠された)



『The time is ripe』

(機は熟した)



『All become zero』

(全ては0となる)



そして画面は消えた。

多分…これで、氷皇のメッセージは終わったのだろう。


誰もが口を噤(つぐ)んでいる。

項垂れるようにして俯いたまま言葉を発しない櫂と、そして唇を震わせたままの僕を交互に見比べているのが判る。


僕は…櫂の反応が怖かった。


機械室に飛び込んできた櫂。


何をしようとこの部屋に訪れたのか。


僕を…罵るためか…?

芹霞を…手に入れる為か?


それを考えただけでも…怖くて。

櫂をきちんと見ることが出来なくて。



やがて――

櫂の声が響いた。



「この…画面の"美由紀"という女は…。………。…俺の母親と同名で同じ顔を持つ女は……言っていた。心臓が弱いから、久涅は一人っ子になると。

俺の母親も心臓が弱かった。

だから俺には――

同じ母親から生まれた、兄弟姉妹は居ないと聞いていた。直接…」


天井を振り仰ぐ櫂の…

絶望的な目が心を深く抉(えぐ)る。



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