シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
皆が驚いた声を上げているのが判る。
だけどその中には櫂の声がない。
櫂の居ない無声音の世界。
また…櫂と元に戻れるだろうか。
また…櫂と笑いあえるだろうか。
芹霞を…失うことで。
「せり……か…」
僕は――
後ろから芹霞を抱きしめて、
その耳元で呟く。
魔法が解ける言葉を。
心を焼き尽くすような…
僕には熾烈な言葉を。
どうしても…
真実を言えずに、嘘で塗り固めてしまった偽りの鍵を、今――外すから。