シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「記憶は上書きが出来るが…

一度壊れたものは元には戻らない。


お前はせりが求める通り、

せりの心を守っただけだ。


せりの心が壊れたのを見て…

そこの仏頂面が喜ぶはずもないだろう」


櫂は…僕に背を向けていて。


視界に入るのは――

櫂の手首の布。


赤い赤い…櫂の血で染まった、

芹霞の想いの象徴。



「あいつだけじゃない。


この場にいる全員が――

それは望んでいない」



――紫堂櫂を愛してる!!!



「せりには――

笑っていて貰いたいんだ。


ずっと、ずっと……」



久遠の心は、僕の心に響き…

そして多分、皆の心にも反響しているだろう。


これは言霊ではない。


ゆらゆらと揺れて共鳴しあう・・・

玉響(たまゆら)で紡がれた言葉。


真実の言葉の数々は――

こんなに切なく、こんなに痛く、こんなに悲しい。


誰もが…そう思っていることだろう。



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