シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「――煌!!!
櫂を屋敷に入れろ!!!」
突如声を荒げられたのは玲様。
それに即時に反応したのは、視力と聴力が優れている煌。
煌も見えたのだ。
誰がこちらに近付いてきているかを。
「櫂、来い!!! 嫌がるな!!!」
固い声を出して、煌はずるずると櫂様を屋敷に連れ込んだ。
本来ならば、主たる櫂様にそんな真似をすることに叱咤したいけれど、今はそんな形でもいいから、早く櫂様の姿を闇に消したくて。
櫂様は、此処に居てはいけない。
居れば――
生きているのが判れば…
きっと櫂様の命はない。
そう思ったんだ。
そしてそんな警戒心を持ったのは玲様も同様のようで。
玲様は――
櫂様が入られた玄関を隠すように、その前に立たれて。
私は――
玲様の隣に立ち、近づいてくる集団を見据えた。
集団――…
紫堂の警護団。
…私の部下達を。
「氷皇が言っていた
『He is coming soon……』の"彼"とは――」
震える玲様の声。
警護団の先頭に立つのは――
「紫堂当主、のことだったのか」
私は、握りしめた拳に力を込めた。