シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・鐘 煌Side

 煌Side
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「煌、俺は…親父に聞きたいんだ!!!」

「駄目だ、今はそれ処じゃねえ!!!」


櫂にとって、氷皇のビデオが棘の1つとなっている。


それは判る。


今まで親父だとおふくろだと思ってきたものが、もしかして違うかもしれねえ。


その時、支えになり包んでやれる芹霞は…櫂のことを覚えちゃいねえ。


今――

櫂は闇の中に放り出されたも同然だ。


あの親父が本当のことを言うかは怪しい限りだけれど、息子の救いの手を目の前で払った親父だというのなら…


櫂のことを追い詰めたという現実を思えば…


櫂の生存に喜ぶはずはなく。


俺には――

逆に厭(いと)わしげに、警護団を使って無き者にするように思ったんだ。


息子の生存を見過ごすことが出来るというのなら、横須賀港で櫂が死ぬのを黙って見ていれるわけもなく――。


それが父親としての当然の情だというのなら。

此程、息子にとって残酷な父親もいねえだろう。


俺は――

これ以上、櫂から何かを失わせるわけにはいかなかった。


もしも親父と対面し、親父が櫂を殺そうとするのなら。

それは親子の繋がりが断絶したと同然。


即ち、自らの子供ではないと認めたようなもので。


櫂の…8年間培ってきた紫堂櫂としての基盤が、全て壊されることになる。


少なくとも櫂の中の"前提"である出生が覆されたのなら…


情の問題ではなく――

自分の生に懐疑的になってしまったのなら…


多分、今の櫂なら――

自分を見失う気がするんだ。


こんな時に、何忘れてやがるんだよ、阿呆タレ!!!



俺が無理矢理…櫂をずるずると屋敷内に連れ込んだ時、櫂が僅かな隙を見計らって、体を捩って俺の手から逃れ、一番近い部屋に飛び込むと…その窓を開けて外を窺った。


いいか…それくらいは。



俺は、櫂と共に…外を覗き見た。


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