シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「芹霞は…」
居る。
あの場に居るのは、芹霞と久遠、玲と桜、当主と久涅…そして後に控える警護団のみ。
他は…いないんだ。
その時、久涅が金の万年筆を大きく掲げた。
頭を苛(さいな)ます音が一際大きくなったと思ったら、
ドゴオオオオン。
凄まじい轟音と地鳴りが"約束の地(カナン)"を揺るがして。
それだけではない。
「久遠様!!!!?」
蓮が久遠を支えていて。
久遠が…倒れたのか!!!?
くつくつ、くつくつ。
くつくつ、くつくつ。
この笑いは…2組。
久涅と…当主。
「意味が判るな、久遠。
今のは小手調べ。
お前が刃向かえば――
壊すぞ、"約束の地(カナン)"を」
場から、混乱の声が上がっているのが聞こえる。
「判って居たろう?
"約束の地(カナン)"には金が眠る。
人々が喜んで遊園地を楽しんでいればいるほど、
その苦痛は凄まじい。
そう――
地獄は…これからだぞ、久遠」
これは…遊園地を楽しんでいた人間達の声か?
この悲鳴と絶叫は!!!
「何の為に!!!
何で"約束の地(カナン)"を…」
声を荒げた玲。
一旦、その言葉を切り、手部狩るような声音に変える。
「久遠が…何で倒れる…?」
そして――
「照準は――
――…魔方陣?」
玲と櫂の声がほぼ同時で。
爆発音と同時に、頭の音が消えた俺は…荒い息をしながら、櫂と共に窓の先を見た。