シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

カラーン。



「これは…僕と芹霞の問題だ。

誰にも聞かせたくない」


話を断ち切らねば。


「いや、お前は親父殿に啖呵を切ったんだ。その結果を提示するのは…義務だろう。ですよね、親父殿」


「そうだな。玲、此処で…見せてみろ。お前の成果を。逆に隠されれば…勘繰ることとなるぞ? そうだな、例えば…お前が肩書きを利用して情報や独自の勢力を築いていないか、とか…謀反の疑いを」


くつくつ、くつくつ。


どくん。


このままでは…櫂の為にしてきたことも、無駄になるのか?

全ては櫂を次期当主に戻したいが為に画策してきたことも…消えると?


どくん。



だけど。



どくん。


嫌だ。

僕にとって"お試し"は重要な意味があったんだ。

こんな…簡単に公開しても平気な、そんな軽いものではないんだ。


僕は――


最後に、僕の真摯な心でもって、芹霞にフラれようと思っていた。

きちんと…僕の想いの強さの分だけ、僕は真剣に終えたかった。


だけど…。


「…いいよ、玲くん。謀反なんて疑われたらあたし嫌だもの。あたし…頑張る。だけど…手加減してね。初心者だから…」


芹霞が笑う。


僕にフラれるという前提で笑う。


叫び出したい。


ダレガフルモノカ!!!


抱きしめて縋りたい。


ボクノコイビトニナッテ。


だけど――

櫂の視線を感じるんだ。


駄目だ。

芹霞に縋っちゃ駄目だ。


どうしたらいい?


僕は――

想いを殺して、芹霞をフるべきなのか?


イヤダ、イヤダ、イヤダ!!!



違う女が好きだから、"お試し"で終わりたいと?

やはり考え直したから、今まで通りでいて欲しいと?

僕は"女"として意識出来そうにないと?



イヤダ、イヤダ、イヤダ!!!



今までの――

櫂を裏切ってまで、芹霞が欲しかった…


僕の真剣で本気な愛を――


此の場で否定しろと!!!?


そして笑うのか?



『"お試し"は、所詮"お試し"だものね。

刺激的だったけれど、楽しく遊べたね。

今度はお互い、恋人と一緒にS.S.A行こうか』



そんな!!!!



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