シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・秘匿 櫂Side

 煌Side
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「櫂、おいッッ!!!」



聞いてしまった――

"お試し"の帰結。



判っていた。

多分櫂も判っていたはずだ。


玲の覚悟を。


あいつは勝負に出た訳じゃねえ。


自分の心の整理に…

フラれる覚悟をしていたんだ。



それが。



芹霞が選んだのは――…

玲、で。



今まで俺達がどんなに愛を訴えても、決して転ばなかった芹霞が、自らの意志で選択したのは、玲で。

その想いに応えようとしているのは玲に対してで。


オレジャナイ。


俺の頭の中は、玲の色に染められた。


真っ白に――…

全ての景色の生彩さを無に還すように。



セリカハレイヲ…。


ぐらり、と身体が揺れた瞬間だった。

櫂から暴風が噴き出て、窓硝子を粉砕してしまったのは。



やばいだろ、隠れている意味ねえだろ。


櫂は…緑色の光に覆われていた。


暴走か!!?


俺は必死の思いで、櫂を正気に戻そうとその身体を抱きしめたんだ。


「櫂、落ち着け!! 櫂!!!」


伝わってくる。

触れる肌から、櫂の心が。


俺の心に共鳴し、同調して拡散する。


俺はその切なさと痛さに、思わず奥歯を噛みしめた。

肉体の苦痛の方がましだと思える、この心の痛み。


俺でさえこうなら…

櫂はどうなんだ?


拒否感。

絶望感。



ク ル シ イ。

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