シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
あたし――
絶対玲くんが凜ちゃんを選ぶと思ってたから、こうした事態になるとは想定していなかった。
今日はどうもありがとうと、最後に御礼を言おうとしていたんだ。
色々あったけれど、玲くんと一緒に居て楽しかったことは事実。
恋人同士になれなくても、凄く…玲くんを好きになったのは本当のことだから。
今は心が痛くても、笑顔で玲くんの恋を応援して、今まで以上に仲良く居られたらいいと思った。
大切に思う気持ちは、何も恋愛感情だけによるものではないから。
白い王子様が相応しいお姫様を選ぶのは、不変の定理。
あたしはお姫様ではないのだから、別離の局面を迎えるのは当然の帰結。
全てはなるようになっただけ。
そう、自分で納得して、ふられる覚悟をしていたんだ。
それが。
玲くんが…あたしを好きだと言ってくれて。
認識していた状況が反転して――
気づいたら――
玲くんの言葉を受入れていた。
拒絶する理由もない。
夢見心地にふわふわとしていた間、
あたしは玲くんに…固まらせる失言をしたのだろうか。