シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


やがて。


動かない玲くんから――

涙がはらはらと…零れ落ちて。


あたしはぎょっとした。


「玲くん、何処か痛いの!!!?」



思わず、そう顔を覗き込んだ時、


「本当……?」


鳶色の瞳が…懇願するように、切なく光った気がして。


"本当"って、何に対する"本当"なんだろう。



「君は――

嫉妬すらしてくれてなかったじゃないか」



本当とは…あたしの気持ちのこと?



「僕が他の女に気があると…身を引こうとしたじゃないか」

「ま、まあ…」


その通りだから否定は出来ない。


「どうして僕には、"激情"を…心をぶつけてくれなかったの!!!?」


肩をがしっと掴まれ――


「どうして…僕に確認してくれなかったんだ!!!?」


あたしは――


「玲くん…あたしは、恋愛初心者で…判らないコトだらけで…自分の心にも戸惑うばかりで」


ねえ、あたしの気持ちは――…


「それが玲くんを苛立たせるのなら…」


玲くんにとって、悦ばしくはないのかも知れない。


「それなら…「違っ!!!!」


何だか涙がほろりと落ちてきて。


「芹霞!!!」


そう言った玲くんは――



「!!!!?」



あたしの両頬に手を添えると…

唇を押し付け…キスをしてきたんだ。


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